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実践的理念経営のための処方箋

今年も残り50日

季節は立冬、あっという間に年末年始です。皆様にとってこの一年はいかがだったでしょうか?

私どもは人材開発と組織力開発によって組織の根本的変革を支援するというミッションを一貫して追及し続けております。

短期的な視点で成し遂げられるものではありません。人の意識や行動が集団レベルで変わっていくためには長期の取り組みとなります。

私のもともとの専門は微生物学や酵素反応、蛋白工学などでした。化学反応は物質同士が反応して別の物質が産み出されるわけですが、生体内における反応においては触媒である酵素が変化を促進します。酵素はアミノ酸からできていますが、活性を持つため、生物と無生物の中間とも言われ触媒の役割をしますが、反応を起こす物質同士のエネルギーレベルが上がらないと新しい物質への変化は起こらないのです。

また微生物の死滅を研究していたときには、「対数的死滅法則」を目の当たりにしました。

詳細は省略しますが、この現象を用いて、食品などの殺菌強度が設定されています。

あれから40年近い年月が流れ、企業の経営経験も加味して、人や組織を対象にしたさまざまな独自の施策を打ち出しておりますが、生物や科学を扱っていた時の知見がいろいろヒントを与えてくれます。

例えば、人とその集団も一定以上エネルギーレベルが上がれば変化するし、そのためにはインキュベーション(培養)期間をしっかりとらないといけないということです。変革業務は長期的な取り組みであり、短期的かつ数字に代表される効果を直ちには要求してはならないということです。初の挑戦的試みとして変革に取り組もうという際にエビデンスを見せろといわれてしまうとなかなか証拠をお見せすることが難しいのも事実です。証拠を要求する会社はここでストップとなります。人材開発に関して投資採算性を計算したいからなどと言われてもその算出は不可能です。しかし投資の何倍にもなって必ず返ってきますよという答えをしております。デミング博士が言うようにこの世の中で数字で表されるものは3%ということを実感しております。

それでも人を育て組織力を育てそれで企業として成功を目指すのだという王道を歩まれる会社も世の中には存在します。こういう会社ではやはり定量的ではない何かをお感じになっておられるのです。序破急という言葉があります。日本の古典芸能などで用いられる考え方ですが人を育て人と人の間にある考え方を揃え、目指すべき目標を共有するところまではじっくりやってから一気に殻を破ってことをなすというものです。この逆にやってしまうと、人の意識を培養するところには時間をかけないということになり、その後がなかなかうまくいかなくなるものなのです。